男性不妊とは

不妊外来を受診したカップルでは不妊の原因が男性の4〜5割の方に存在すると言われています。
男性不妊としてあげられるのは

  1. 造精機能障害(精子を造る機能が障害されている)
  2. 性器機能不全(勃起不全・射精障害・逆行性射精など)
  3. 精路通過障害(精子を移送する路が閉塞している)
  4. 副性器障害(前立腺炎など)

精液検査は精液中の精子の状態を調べる検査です。これに異常があれば1や3が疑われます。精液検査は全ての方に行って欲しい男性側の基本検査です。

一般精液検査

2〜4日の禁欲期間で採精(射精)していただき検査します。
精液量、精子濃度、精子運動率、白血球数などを測定します。これらのどれかが異常でも妊娠しづらくなります。ここで異常があれば上記の1〜4の有無を調べることになります。


精液検査が正常であっても男性側に異常があることがあります。精子の遺伝子が損傷している確率が高い方がいます。受精後2〜3日は卵子の遺伝子で受精卵は成長しますが、それ以降は精子の遺伝子も働き始めます。精子の遺伝子に損傷があると、そこからの受精卵(胚)の成長が障害されると言われています。体外受精で実際に胚を観察していると、受精後2〜3日までは順調に成長しているのですが、それ以降に急激に発育が悪くなる方がいます。そういう方の精子を調べた研究があり、それによると精子の遺伝子の損傷率が高いことが分かりました。精液検査では把握できない原因が男性側にあるということを物語っています。

精子遺伝子(DNA)の断片化状況(DFI:DNA Fragment Index)の測定
精液中の酸化還元電位(酸化ストレスの強さ)の測定

この検査は新しい検査方法で、従来の方法(一般精液検査)では検出できなかった精子の異常を発見することが出来ます。

を調べることができます。


精液検査が正常でも精子の状態がよくないことがあります。たとえば、精子の遺伝子が損傷を受けている率が高いと妊娠に結びつきにくくなります。精子頭部には大切な遺伝子 (DNA) が詰まっています。その遺伝子を損傷する原因には活性酸素が大きく係わっています。禁欲期間が長いと精子は活性酸素に曝される期間が長くなって精子の遺伝子が損傷を受けやすくなると言われています。それ以外にも、生活習慣(ストレス、喫煙、食事、カフェインの過剰摂取など)、肥満なども関与しているようです。
この検査の結果によっては、早めのステップアップ(人工授精や体外受精)が薦められます。また、抗酸化剤などの内服をお勧めします。
この検査は健康保険の適応がなく自費の検査(税込み22,000円、一般精液検査も含んだ値段)になります。初診の時に検査をすることをお勧めしますが、しばらくタイミング指導などで妊娠成立を試みて妊娠にいたらない時点でも検査はできます。
精子数が少ない場合には検査ができない場合があります。

精巣内精子採取術(TESE)

精液中に精子が認められない「無精子症」、またはほかの方法により体外受精又は顕微授精に用いる精子が採取できないと医師が判断した方に対して「精巣内精子採取術」を実施しています。
「精巣内精子採取術」の適応の判断を目的として、血液によるホルモン検査、染色体検査、AZF検査(Y染色体微小欠失)も行っています。

無精子症の方のなかには、射精した精液中に精子が認められなくても精巣内の一部分で精子が作られていることがあります。
「精巣内精子採取術」では精巣内で精子が作られていそうな太い精細管を顕微鏡で確認して回収します。

日帰り手術、保険適用となります。

当院の治療成績

2005〜2020年に130例の無精子症患者さんに精巣内精子採取法(いわゆるTESE)を施行しました。

そのうち42%(30名/71名)で挙児を得ました。

TESE患者さん当たりの生児出産率 は23%(30名/130名)
採卵当たりの生児出産率 は18%(42名/採卵228回、45児、双胎3組)
胚移植当たりの生児出産率 は13%(42名/移植319回)でした。

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